こんにちはシェフの高本です!
現役精肉店の店主から精肉店の
開業、維持、経営に必要不可欠な付加価値を与え続ける食肉加工設備を教えていただきました。
 
この記事を3分で流し読むことであなたも
精肉店開業前にあたふたと機材を探し回ることがなくなるでしょう。
Contents
設備に関する記事がおすすめな方
- 精肉店を開業予定の方
- 精肉店の後継になる可能性のある方
- 焼肉屋で独立、開業を考えている方
- 精肉屋での就職、転職に興味のある方
販売するものに最適な設備
精肉店を開業するには一般的な飲食店用の店舗設備に加え、
精肉店ならではの設備があります。
特に精肉店では精肉販売と
揚げ物、惣菜などを一緒に販売するケースが多いです。
揚げ物や惣菜でなくても保健所の許可の範囲内であれば
自分の好きなものを販売することができるので
昔からの”精肉業”という枠に囚われる必要もないです。
しかし、販売内容により必要とする設備が変わってきますので、
精肉店に必要な設備
精肉店には、精肉専用の少し変わった設備も必要です。
基本的にはレジやシンク、料理道具などは
食品を扱う店舗には必ずある設備と同じです。
精肉店では、お客様に商品を見せるショーケース、
計量するはかり、鮮度を保つ冷蔵庫・冷凍庫などは欠かせません。
また揚げ物や惣菜を販売する場合は、
フライヤーやオーブンなども必要になるでしょう。
ジブリのアニメで出てくるような肉屋にぶら下がったソーセージは
美味しそうに見えるのは何もアニメの中だけの話ではありませんが
ソーセージを作るための設備が必要かどうかは
オーナーの考え方により意見が分かれるそうです。
宮崎駿に相談でもすればすぐに設置させられることでしょう。
店舗作りのコンセプトや自分が手掛ける商品の販売内容に合わせて
どの設備が自分の商品へ付加価値を与えることができ、必要なのか検討しましょう。
絶対に外せない8個の設備
- スライサー
- ミートチョッパー
- ジャッカード
- 作業台(コールドテーブル)
- 冷蔵庫/冷凍庫
- ショーケース
- 計り
- 真空機
場合によっては必要な設備
- フライヤー
- オーブン
- 鋳物コンロ
- ソーセージスタッファー
- 低温調理器
- スチームコンベクション
その他の設備や備品
- シンク
- 給湯器
- 手洗い場
- 食器棚
- 換気扇
- トイレ
- 照明
- ゴミ箱
ここで挙げた1〜8はなければ保健所の許可が下りないので、
精肉店の営業許可を取得するときにも必要になる
必須のアイテムと言えるでしょう。
- レジ
- 冷暖房機
- 防犯設備
- 調理道具
- 食器
- 食品トレー
- テーブル/椅子
- 電話/FAX
- パソコン
- プリンター
- ラップ包装機
- 清掃用具
- 照明
- 傘立て
- 立て看板
- 音響
- 送風機(サーキュレーター)
精肉店の設備を解説
実際に私の経営している店舗へ導入していることを踏まえて
経営者の意見・使い勝手などをひとつずつ紹介していきます。
スライサー
塊肉をうすく切断(スライス)する機械で、
毎日食肉を加工する精肉業には欠かせない設備です。
私は「肉スライサー」は精肉店の顔になると思い、
お客さんから見える位置に配置しました
精肉店ではスライサーは、2種類あるのが理想です。
理由は食中毒防止の為、生肉(加熱調理が必要な精肉)と
調理済み肉(加熱不要で食べることができるハムなど)
を分けるためです。
毎回、洗浄消毒をすれば1台で生肉と調理済み肉の両方を
切断する事は可能ですが、営業中の忙しいときに行うのはまず
不可能でしょう。
私の店舗では、ミートスライサー1台を新品で、
ハムスライサー1台を中古で、計2台を購入しました。
女性ウケ商品【大豆ミート】でパスタメニューの開発からレシピ提供まで
ミートチョッパー
ミートチョッパーとは、塊の肉からをひき肉を作る食肉加工機械で、
ミンチ機、ミートミンサーとも呼ばれます。
ハンバーグに使う用のお肉などを作る機械で
牛・豚・鶏の各ひき肉を作るため精肉店には欠かせない設備です。
私の店舗では、ミートチョッパーを中古で購入しましたが
まだまだ使えそうです。
料理メニューの開発委託できます。今回は鶏胸肉の自家製パテ
ジャカード ミートテンダライザー
針状の刃を多数並べたもので、肉の塊に付いている筋を切る機器です。
大型と小型がありますが、大型は卓上設置型、小型はハンディー型です。
肉を柔らかくする・味をしみ込みやすくする目的で、
塊肉に無数の細かい穴をあけ、付加価値とも呼べる食肉の加工テクニック。
私の店舗では、もともと両方使用していましたが、
最近では小型のみ使用するようになりました。
作業台(コールドテーブル)
肉の成形、商品の計量・包装や仕込み調理をする場として作業台は欠かせません。
台の下が収納スペースになっているものや、
冷蔵庫になっているコールドテーブルがあります。
作業がしやすい高さのものを選んで設置してください。
私は身長が高く、長時間作業をしていると低い台では体に負担がかかるので
高い作業台になるよう調整しています。
冷蔵庫/冷凍庫
食材を保管する冷蔵庫や冷凍庫は、欠かせない設備で、
特に精肉店の場合は、大型の冷蔵庫・冷凍庫が必要です。
私の店舗では3種類の冷蔵庫を用意しています。
- 大型プレハブ冷蔵庫1台、
- 縦型冷蔵庫1台
- コールドテーブル1台
冷凍庫は縦型冷凍庫1台を使用していますが
正直、冷凍庫は足りてなくて今後増設したいです。
冷蔵庫、冷凍庫の冷却装置を屋外へ配置することもできます。
私の店舗で屋外へ設置していますが、
冷却装置が温かいので害虫が発生しやすいという理由で
衛生面を考えても室内には置きたくないからです。
ショーケース
肉屋に入ると一番最初に目にするものでもある商品を陳列する棚です。
精肉店で対面販売を行う場合は、冷蔵機能がついた
ショーケースが必要です。
揚げ物を販売する場合は、
保温機能がついた商品陳列棚というのももあります。
調味料やインスタント商品、缶詰などの常温商品を
陳列する棚もあると便利ですね。
私の店舗のショーケースは、
精肉で冷蔵1台、惣菜で冷蔵1台、
揚げ物で保温1台、常温商品で1台です。
食中毒予防の観点から要加熱の商品と加熱不要の商品に分けて
生食用の食材と生肉が混ざることがないようにショーケースを別にしています。
はかり
量り売りをしているお店であれば、
なくてはならないものでもありますが
肉を計量するためのはかりです。
はかり単体のほかに、ラベル発行可能な計量ラベルプリンターや
レジ一体型というのもあるのでスペースが少ない場合は、レジ一体型も検討しましょう。
一体型には計量とレジが同時に使用できないという欠点がありますので
注意が必要です。
私の店舗では、計4台のはかりを用意しています。
試しはかり2台
ラベル発行可能な対面式はかり2台
真空包装機
肉も鮮度が大切で空気に触れてしまうと酸化して黒くなっていくので
商品の鮮度を保つために真空パックをする機械です。
卓上型と据え置き型があり、
最近では家庭でも使えるような小型で格安のものもありますが
精肉店では肉の塊をパックするため大きい真空包装機が必要です。
私の店舗では、90万円弱の卓上型の真空包装機を毎日使用しています。
フライヤー
揚げ物を販売する場合は大型のフライヤーが必要です。
飲食店では大抵裏方の方の隅っこに置いてあることがほとんどですが
私のお店では揚げ物を揚げたてのままを提供したいので
フライヤーをショーケースの近く(お客さんからも見える場所)に設置しています。
フライヤーには1槽式と2槽式があり、2槽式は揚げ物が大量の場合や
温度違いで揚げる場合に活躍します。
よく、お肉屋さんのコロッケは美味しいと言われます。
揚げ物を販売すれば風評で売れるかもしれません。
実際に私の店舗でも揚げ物を販売しており、
2槽式のフライヤーを使用しています。
2槽式は、大量の揚げ物を揚げるときや
お祭りで出店するときに大活躍しています。
オーブン
肉をローストするときや惣菜を作る場合にはオーブンが必要です。
種類もガスオーブン、電気オーブンがあります。
ガスオーブンの特徴は火力が強く庫内も広いため、
大量の食材を調理するには便利です。
私の店舗では、電子レンジ一体型の電気オーブンを使用していて、
普段はローストビーフやクリスマスにはローストチキンを焼いています。
電気オーブンは庫内にオーブン皿が2枚しか使用できず、1度にローストチキンレッグが
最大でも8本しか焼けません。大量に焼くには、大きいガスオーブンが必要です。
効率化って経営には大事です。
鋳物コンロ
業務用の鋳物コンロは、家庭用のものとは比べ物にならないくらい
火力が非常に強いのが特徴です。
バーナーの噴射口が1重、2重、3重とあり、
家庭用と比べ2重が2倍、3重が3倍以上の火力になります。
私の店舗では、ポテトサラダ、ポテトコロッケのじゃがいもを蒸かすときや
焼き豚を煮るときも使用しています。
従業員のまかないを作る際にもコンロを使うので、
家庭用の卓上ガスコンロもあると便利でしょう。
ソーセージスタッファー
ソーセージを作るための器具で店独自のソーセージが作れます。
私の店舗では開店当初、作るつもりがなかったので
「ソーセージスタッファー」はおいていませんが、
ソーセージ作りもいつか挑戦したいと思っています。
低温調理器
肉の中心温度が63℃以上にならないように調整する調理機です。
焼き豚やローストビーフなどで使用することができますが、
私の店舗では今のところ使用していません。
スチームコンベクション
「焼く」「蒸す」「煮る」「炊く」「炒める」などが出来、レストランでも使われることのある
多機能な加熱機器です。
私の店舗では使用していませんが、使いこなせれば強い味方になるでしょう。
まとめ
精肉店の販売内容によって設備数は変わります。
今回の記事ではあくまでも一例としてあげましたが
自分の目指す方向性を考え、必要な設備を検討しましょう。
もしも開業をすることになったのであれば
早い段階で設備や店舗を把握することで、
精肉店のイメージがしやすくなります。
開店後、設置すればよかったと後悔することが無いように
綿密に検討・計画することをおすすめします。
今回の記事が今後の開業者の方へ少しでもお役に立てれば幸いです。
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